独立行政法人
勤労者退職金共済機構発表
令和2年7月17日
独立行政法人勤労者退職金共済機構
 総務部

総務部長     鈴木 一光
総務課長     立原  新
総務部代表    03-6907-1275
中小企業退職金共済事業本部
業務運営部長  中島 義幸
企画課長     松本 隆之
業務運営部代表 03-6907-1289





平成26年に判明した中小企業退職金共済制度に係る不正事案の追加調査結果


 独立行政法人勤労者退職金共済機構(理事長 水野 正望)(以下「機構」という。)は、中小企業退職金共済法に基づき実施している中小企業退職金共済制度
(注1)において、平成26年に日本生命保険相互会社(以下「日生」という。)営業職員が関与した不正事案が判明し、その調査結果を公表しておりますが(注2)、今般、同制度の退職金共済契約の共済契約者から、日生に対して自身の契約が適正なものであるのか問合せがあったため、機構において追加調査を行いました。
 その結果、平成26年当時に調査対象とした退職金共済契約より前の退職金共済契約についても、同様の不正事案等が判明しましたので、その調査結果等を以下のとおり公表します。

  1. 追加調査の経緯
     機構は、中小企業退職金共済制度の退職金共済契約の共済契約者から問合せを受けた日生より、日生の営業所所属の営業職員が平成21年1月に加入勧奨をし、取次を行った当該問合わせがあった退職金共済契約について、中小企業退職金共済制度加入資格への適合性に疑義が生じた旨の報告を受けた。
     当該契約の取次が行われた営業所は、平成26年に発覚した日生の営業職員による不正事案に主導的に関わっていた日生の元営業部長(既に退職。以下「元部長」という。)が、平成21年当時に勤務していた営業所であった。
     今般、元部長が、営業職員を指導する立場の管理職の地位にあった全期間について、平成26年当時に調査対象とした退職金共済契約(元部長が部長職等であった営業所における平成21年3月以降の契約)より前の退職金共済契約を追加調査したところ、同様の不正事案等が判明した。
  2. 追加調査結果と機構の対応
     機構は、追加調査に基づき、不正・不適正に締結された共済契約により受給された退職金等については、日生に対し、損害賠償請求を行い、所要の回収を行うこととしている。また、退職金等に含まれる助成されるべきではなかった掛金負担軽減措置(注3)相当額についても国に返還する。
     機構としては、書類審査・確認体制を強化し、不正事案の再発の防止に取り組んでいるところであり、引き続き適正な制度運営に務めてまいる所存。

     不正・不適正契約件数(被共済者ベース)(注4)計322件
     (うち不正契約件数  206件、不適正契約件数  116件)
     不正・不適正に受給された退職金等に関し、機構から日生に求めた損害賠償額
     計303件、計59,300千円
     国に返還すべき退職金等に含まれる掛金負担軽減措置相当額
     (まだ受給されていない退職金を含む)   計322件、計20,726千円


(注1)中小企業退職金共済制度:独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業
    について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度を確立し、
    従業員の福祉の増進と企業の振興に寄与することを目的として、中小企業退職金
    共済法に基づき機構が運営を実施する退職金共済制度。
    (加入事業所数:37万事業所、加入従業員数:348万人(令和2年3月末現在))

(注2)平成26年12月22日中間発表
    https://www.taisyokukin.go.jp/org/org05-7.html
    平成27年6月30日最終発表
    https://www.taisyokukin.go.jp/org/org05-8.html

(注3)掛金負担軽減措置:中小企業退職金共済法第23条に基づき、昭和61年12月から
    中小企業退職金共済制度の加入促進等のために、国の助成により設けられてい
    る共済契約者の掛金負担軽減措置。平成13年4月から新規加入の場合、原則と
    して掛金月額の1/2(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間減額。

(注4) 日生営業職員が取り扱った共済契約のうち、元部長の主導の下、@不正契約と
    は、不正に退職金を受給させること等を目的として、中小企業事業者等に対し、
    故意に事業実態や雇用実態がない虚偽の加入申込書を提出させ、又は退職した
    事実がない虚偽の退職届・退職金請求書を提出させる等した共済契約、A不適正
    契約とは、中小企業事業者等に対し、不注意や知識不足により事業実態や雇用
    実態に係る中退共契約の条件について十分に説明・確認をせず、締結された
    共済契約。