独立行政法人
勤労者退職金共済機構発表
令和3年11月5日
【照会先】
独立行政法人勤労者退職金共済機構
 総務部

総務部長     久知良 俊二
総務課長     立原  新
総務部代表    03-6907-1275
中小企業退職金共済事業本部
業務運営部長  糸谷 暢晃
企画課長     松本 隆之
業務運営部代表 03-6907-1289

平成26年に判明した中小企業退職金共済制度に係る不正事案の再追加調査結果


 独立行政法人勤労者退職金共済機構(理事長 水野 正望)(以下「機構」という。)は、中小企業退職金共済法に基づき実施している中小企業退職金共済制度
(注1) において、平成26年に日本生命保険相互会社(以下「日本生命」という。) 営業職員が関与した不正事案が判明した以降、 その調査結果及び追加調査結果を公表しておりますが (注2)、今般、令和2年12月に実施された会計検査院実地検査の指摘に基づき、機構において再度の追加調査を行いました。
 その結果、これまで2回に渡る調査により判明した不正・不適正契約(注3)の事案(以下「不正事案等」という。)以外にも、不正事案等が判明しましたので、その調査結果等を以下のとおり公表します。

  1. 再追加調査の経緯
    機構では、令和2年12月に行われた会計検査院の実地検査において本不正事案等に関するこれまでの調査の内容が検査対象とされた。
    その結果、これまでに不正事案等として公表されたもの以外の退職金共済契約についても、一定の地域において、日本生命営業職員が関与した契約に、特異な退職金請求事例が集中しているとの指摘を受けた。
    このため、機構において、再追加調査を行ったところ、令和2年以前に公表した不正事案等以外にも、日本生命営業職員が関わる不正事案等のあることが判明した。
  2. 再追加調査結果と機構の対応
    機構は、再追加調査に基づき、不正・不適正に締結された共済契約により受給された退職金等については、日本生命に対し、損害賠償請求を行い、所要の回収を行うこととしている。また、退職金等に含まれる助成されるべきではなかった掛金負担軽減措置 (注4)相当額についても国に返還する。
    機構としては、書類審査・確認体制を強化し、不正事案の再発の防止に取り組んでいるところであり、引き続き適正な制度運営に務めてまいる所存。
    • 不正・不適正契約件数(被共済者ベース) 計852件
      (うち不正契約件数 434件、不適正契約件数 418件)
    • 不正・不適正に受給された退職金等に関し、機構から日本生命に求めた
      損害賠償額 計622件、計65,528千円
    • 国に返還すべき退職金等に含まれる掛金負担軽減措置相当額
      (まだ受給されていない退職金を含む) 計718件、計20,918千円 
    (注1)
    中小企業退職金共済制度:独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度を確立し、従業員の福祉の増進と企業の振興に寄与することを目的として、中小企業退職金共済法に基づき機構が運営を実施する退職金共済制度。(加入事業所数:37万事業所、加入従業員数:348万人(令和2年3月末現在))
    (注2)
    平成26年12月22日中間発表 https://www.taisyokukin.go.jp/org/org05-7.html
    平成27年6月30日最終発表 https://www.taisyokukin.go.jp/org/org05-8.html
    令和2年7月17日追加調査発表 https://www.taisyokukin.go.jp/org/org05-14.html
    (注3)
    日本生命営業職員が取り扱った共済契約のうち、@不正契約とは、不正に退職金を受給させること等を目的として、中小企業事業者等に対し、故意に事業実態や雇用実態がない虚偽の加入申込書を提出させ、又は退職した事実がない虚偽の退職届・退職金請求書を提出させる等したと判断される共済契約、A不適正契約とは、中小企業事業者等に対し、不注意や知識不足により事業実態や雇用実態に係る中退共契約の条件について十分に説明・確認をせず、締結されたと判断される共済契約。
    (注4)
    掛金負担軽減措置:中小企業退職金共済法第23条に基づき、昭和61年12月から中小企業退職金共済制度の加入促進等のために、国の助成により設けられている共済契約者の掛金負担軽減措置。平成13年4月から新規加入の場合、原則として掛金月額の1/2(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間減額。